CB1100R 20年目のオーバーホールレポート 

プロローグ

購入してからこれまでの間(走行約45,000Km)、消耗品の交換以外では
・キャブOH(10年くらい前)
・マフラー交換(錆対策)
・シート再生
位しか手を掛けず、ほとんど乗りっぱなしでした。 保管場所もガレージではなく、シート1枚に雨さらしの状態です。
こういった劣悪な環境の中においても、私のCB1100Rは大きなトラブルもなく過ごしてきました。

しかし、オイルの消費が激しくなり、1000Kmくらい走っただけで停止時にオイルランプが 「ポッ」と点灯するほどになってしまい、とうとうオーバーホールせざるを得ない状況に追い詰められました。

オーバーホールに踏み切ったもう一つの理由は、本当にこのバイクを任せられるメカの方との出会いです。 オーバーホールの間、乗り越えなければならない「山」が必ず一つや二つはあります。 そのときにメカの方との信頼関係が無ければOHは「失敗」してしまうでしょう。

でもエンジンを降ろすまでは、エンジンの塗装やフレームの塗装まですることは考えていませんでした。
しかし、バラしていくと16年間積もっていた滓(おり)を目の当たりにすることとなり、反省すると同時に今回出来るだけのことはしようと決心したのであります。
これまで、MCに合わせた生活というものは考えていませんでした。雨さらしにしても壊れないし、乗りっぱなしにしていても 次の週にはちゃんと走ります。
決して愛情が無かったわけではありませんが、このオーバーホールは11Rがかけがえの無いものであるということ再認識し、今後の付き合い方を変えて行こうと思った大きなターニングポイントとなりました。 そういう意味で大変意義のあるものでした。

オーバーホールとは、ただ単に修理することではないのだということを痛感しました。

エンジン

・ピストン・ピストンリング交換(ノーマルサイズ)
・クランク親子メタル全交換
・プライマリーシャフトダンパーゴム、プライマリーギア交換
・プライマリーチェーン、ダンパーベース交換
・カムチェーン、テンショナー、ガイド交換

なんといっても今回一番苦労したのはクランクケースアッパーとシリンダーの分離です。これはもう固着というレベルではなく、専門の内燃機関業者でも1ヶ月以上かかりました。
シリンダーは再使用するのが前提ですので、時間と費用を掛けてでもキチンと分離する必要がありました。街乗り中心で、路肩を走ることが多い私の走り方も激しい固着の原因だろうとのことです。

分離したシリンダーの磨耗レベルは一般的であり、十分再使用が可能なレベルでした。
ピストンも磨耗限度は超えていないため、次回以降OH時の再使用に備えてストックしておきます。
今回使用した新品ピストンは数年前に入手済でしたが、かなり古いもので保存状態が悪く、 腐食を研磨した結果、使用済みピストンと同ベルまで磨耗してしまいました(悲)入手後、いい加減な管理をしているとこうなりますという典型的な例です(涙)

アッパークランクケース・シリンダー・ヘッドは粉体塗装を行いました。
粉体塗装というのは塗膜が厚く、塗装ムラもなく仕上がりは大変美しいですが、 意外と耐溶剤性がないことがわかりました。ガソリンをかけると白っぽく変色してしまいます。

組み立てに当たっては、各パーツの重量やサイズを精密に計測し、重量バランスの狂いを最小限に抑えています。今回のオーバーホール作業の真骨頂がここにあります。
計測し、予測して組んでみて目で確認する、という地味な作業の繰り返しで「ロスの無いエンジン」を目指して 組み上げました。これはもう完全に「チューニング」と呼べるものだと思っています。

フレーム

今回2番目の衝撃的な出来事がこれでした。
バラしている時、フレームにヒビを発見。なんだコリャ、と削ってみるとパテ!した。もともと事故経験車であるのはわかっていましたが、フレームをパテ埋めしてあるとは気がつきませんでした。
数年前にGMDにてフレームの大きな歪みを指摘されていましたが、その原因がこれではないかと思います。
改めてアライメントを確認すると、スイングアームも曲がっており、ドライブスプロケットが偏磨耗していることが判明!
もちろんこういう機会ですのでフレームは修正、スイングアームは中古品と交換しました。

尚フレームは粉体塗装、スイングアームは一般塗装を依頼し、リフレッシュしています。

フロントフォーク周り

まずはフォークアウターを粉体塗装。中身はオーバーホールを行いました。
ブレーキホースは再販した時に購入していた純正新品パーツに交換。またディスクも磨耗が大きかったので、ストックしてあった中古品に交換しました。
そして乗りっぱなしだったためフォークインナーの錆びが一面に・・・これも中古パーツを確保して交換。これからは保管方法・手入れを見直していかなければならないと心底痛感した部分です。

この結果、Fブレーキは本来の性能を取り戻したと思います。指2本で強力な効きを発揮するようになりました。

また、ここではお決まりのステムベアリング交換も行っています。 ここはこれまで3回くらい交換しています。

尚フレームは粉体塗装、スイングアームは一般塗装を依頼し、リフレッシュしています。

リヤ周り・キャブレター

スイングアームを交換したところフェンダーとリヤタイヤのセンターが一致しました(爆)
交換に伴ってスイングアーム可動部分のベアリング等は交換しています。

リヤブレーキホースもフロントと同様純正新品パーツに交換。
またフロントと同じく外見の劣化が激しかったリヤショックも ストックしてあった中古品と交換しました。

しかし特に汚かったのはチェーンケースの裏です。油と砂でヘドロ状態になってました。

キャブは大阪サニーサイドにオーバーホールを依頼。消耗パーツの交換を行いました。
インシュレーターも新品に交換しました。
錆びが浮いていたキャブカバーをバフ掛けしてくれました。感謝です。

メーター・その他

オーバーホール以前から、スピードメーターの動きが変になっていました。(発進後、数キロ走るまでスピードメーターの針が動かない現象)
そこでタコメーターと併せて岡山のクラフトビーさんにオーバーホールをお願いしました。

メーターガラス交換、リングの再塗装などでまるで新品のようになって帰ってきました。 こういったメーターのOHはメーカー(日本精機)でも行っているようです。メーター自体は欠品ですがこれは安心ですね。

尚、スピードメーターの不具合は、針のストッパーが経年変化で変質し、針にくっついてしまっていたのが原因とのことでした。
2004年7月現在、再調整も完了し動作に問題はなくなりました。

カウルステー、クラッチカバー、バッテリーケース、ブレーキランプのステーは粉体塗装。ボルト類はできるだけ磨いて再使用しました。
もともとメッキボルトが多用されており、ピッチクリーナー+ワイヤーブラシで磨くと驚くほどきれいになります。

エンジンハンガーのクリーニングにはグラインダーを使用。道具って便利だ・・・を痛感。 三つ又もかなりきれいに磨いてもらいました。感謝です。

手をつけていないところ

エンジンを下ろさなければできないところはほぼすべて手を入れています。

外装はそのままで相変わらずのヒビだらけです。見かねてミラー基部はボンドで補強。
またクラッチアウターは交換していないのでCB特有のゴロゴロ音が派手に聞こえます。(汗)

なぜかスプロケカバーは塗装に出さなかったので、自分で塗ろうと思ってます。

オーバーホール後の印象について

エンジンの吹け上がりが本当に静かに、軽くなりました。まるで以前乗っていた750のエンジンのようです。
慣れるまでは発進時に回転が上がり過ぎてギクシャクしてしまいました(笑)
車体も、フレーム修正の結果左右ともナチュラルにバンクできるようになった気がします(笑)
今まで気にもしてなかった部分なので不思議な感覚です。

又当たり前ですが、オイルの消費が大変少なくなりました。1000Kmほど走行しましたがオイルは全く減っていません。
しかしわずかにヘッドとシリンダーの間からオイル滲みが発生しています。実用上問題が無いレベルですが、 スタッドボルトの増し締めを行っても解消されないので、メカの方と相談しながら現在は様子見の状態です。

また今回、テールランプのLED化を行いました。CB-Fオーナーズクラブの若園さん製作の基板を使い、3500mcdの超高輝度LED(赤)を72個使用しています。光量は申し分ありません。理論上消費電力が約4Wとなり、ノーマル電球の12分の1以下です。電圧計を取り付けたMCで計測すると、点灯時に通常2Vは発生する電圧降下が0.1V以内となります。いかにバッテリーに負担をかけていないかがわかります。
この基板のスモール時の減光回路はパルスコントロール方式です。スモール時に全体的に減光するところも 美点です。

費用について

エンジン関連のパーツ代を合計すると約30万円です。(ストックしていた部品の代金は除く) オーバーホールとしては一般的なレベルではないでしょうか。
今回はさらにフレーム修正費用、塗装費用が別途かかり、最終的には「レストア」状態となっています(苦笑)
しかし、これで新車の状態が取り戻せるならば本当に安い投資だと思います。

エピローグ

オーバーホールというものはこんなに「精神的に」つらいものだとは思いませんでした。
もうフレームはダメかもしれない、シリンダーはダメかもしれない、と考えるたびに、何のためこれまで乗ってきたのかわからなくなっていました。(その責任は自分にあるんですけどね)ですから完成後、これで本当に「あと20年」心配なく乗れるようになったんだな、というのが一番うれしいです。

今までの「乗りっぱなし」からより手を掛けていけば永遠に乗り続けられる気がします。

(2004/7/6)