◆ CB1100R 20年目のオーバーホールレポート  ◆

2003年12月6日より2004年5月6日まで、当HP管理人のCB1100RDがオーバーホールを行いました。
1988年1月に中古車で購入以来、大きな整備はほとんどせずに過ごしてきました。
この私(野村@管理人)が何故ここでオーバーホールを決行したか、そしてどんなことを行ったのか、 を紹介させていただきます。

今回のオーバーホールにあたり、暖かい助言を下さった方々に改めて御礼を申し上げます。 本当にありがとうございました。

<プロローグ>

 購入してからこれまでの間(走行約45,000Km)、消耗品の交換以外では
  ・キャブOH(10年くらい前)
  ・マフラー交換(錆対策)
  ・シート再生
 位しか手を掛けず、ほとんど乗りっぱなしでした。 保管場所もガレージではなく、シート1枚に雨さらしの状態です。
 こういった劣悪な環境の中においても、私のCB1100Rは大きなトラブルもなく過ごしてきました。

 しかし、オイルの消費が激しくなり、1000Kmくらい走っただけで停止時にオイルランプが 「ポッ」と点灯するほどになってしまい、とうとうオーバーホールせざるを得ない状況に追い詰められました。

 オーバーホールに踏み切ったもう一つの理由は、本当にこのバイクを任せられるメカの方との出会いです。 オーバーホールの間、乗り越えなければならない「山」が必ず一つや二つはあります。 そのときにメカの方との信頼関係が無ければOHは「失敗」してしまうでしょう。

 でもエンジンを降ろすまでは、エンジンの塗装やフレームの塗装まですることは考えていませんでした。
 しかし、バラしていくと16年間積もっていた滓(おり)を目の当たりにすることとなり、反省すると同時に今回出来るだけのことはしようと決心したのであります。
 これまで、MCに合わせた生活というものは考えていませんでした。雨さらしにしても壊れないし、乗りっぱなしにしていても 次の週にはちゃんと走ります。
 決して愛情が無かったわけではありませんが、このオーバーホールは11Rがかけがえの無いものであるということ再認識し、今後の付き合い方を変えて行こうと思った大きなターニングポイントとなりました。 そういう意味で大変意義のあるものでした。

 オーバーホールとは、ただ単に修理することではないのだということを痛感しました。



塗装の剥げが酷かったエンジンを粉体塗装


クラッチカバーの自家塗装は断念・・・

<エンジン>

・ピストン・ピストンリング交換(ノーマルサイズ)
・クランク親子メタル全交換
・プライマリーシャフトダンパーゴム、プライマリーギア交換
・プライマリーチェーン、ダンパーベース交換
・カムチェーン、テンショナー、ガイド交換

  なんといっても今回一番苦労したのはクランクケースアッパーとシリンダーの分離です。これはもう固着というレベルではなく、専門の内燃機関業者でも1ヶ月以上かかりました。
 シリンダーは再使用するのが前提ですので、時間と費用を掛けてでもキチンと分離する必要がありました。街乗り中心で、路肩を走ることが多い私の走り方も激しい固着の原因だろうとのことです。

 分離したシリンダーの磨耗レベルは一般的であり、十分再使用が可能なレベルでした。
 ピストンも磨耗限度は超えていないため、次回以降OH時の再使用に備えてストックしておきます。
 今回使用した新品ピストンは数年前に入手済でしたが、かなり古いもので保存状態が悪く、 腐食を研磨した結果、使用済みピストンと同レベルまで磨耗してしまいました(悲)入手後、いい加減な管理をしているとこうなりますという典型的な例です(涙)

 アッパークランクケース・シリンダー・ヘッドは粉体塗装を行いました。
 粉体塗装というのは塗膜が厚く、塗装ムラもなく仕上がりは大変美しいですが、 意外と耐溶剤性がないことがわかりました。ガソリンをかけると白っぽく変色してしまいます。

 組み立てに当たっては、各パーツの重量やサイズを精密に計測し、重量バランスの狂いを最小限に抑えています。今回のオーバーホール作業の真骨頂がここにあります。
 計測し、予測して組んでみて目で確認する、という地味な作業の繰り返しで「ロスの無いエンジン」を目指して 組み上げました。これはもう完全に「チューニング」と呼べるものだと思っています。

 


フレームの打痕(悲)


塗装しなおして交換したスイングアーム

<フレーム>

 今回2番目の衝撃的な出来事がこれでした。
 バラしている時、フレームにヒビを発見。なんだコリャ、と削ってみるとパテ!した。もともと事故経験車であるのはわかっていましたが、フレームをパテ埋めしてあるとは気がつきませんでした。
 数年前にGMDにてフレームの大きな歪みを指摘されていましたが、その原因がこれではないかと思います。
 改めてアライメントを確認すると、スイングアームも曲がっており、ドライブスプロケットが偏磨耗していることが判明!
 もちろんこういう機会ですのでフレームは修正、スイングアームは中古品と交換しました。

 尚フレームは粉体塗装、スイングアームは一般塗装を依頼し、リフレッシュしています。

 


粉体塗装が最も効果的と言われるフォークアウター


一面の錆が浮いていたインナーも中古品を確保

<フロントフォーク周り>

 まずはフォークアウターを粉体塗装。中身はオーバーホールを行いました。
 ブレーキホースは再販した時に購入していた純正新品パーツに交換。またディスクも磨耗が大きかったので、ストックしてあった中古品に交換しました。
 そして乗りっぱなしだったためフォークインナーの錆びが一面に・・・これも中古パーツを確保して交換。これからは保管方法・手入れを見直していかなければならないと心底痛感した部分です。

 この結果、Fブレーキは本来の性能を取り戻したと思います。指2本で強力な効きを発揮するようになりました。

 また、ここではお決まりのステムベアリング交換も行っています。 ここはこれまで3回くらい交換しています。

CB1100Rオーバーホールレポート2へ

HOME

CB1100R Owner's Club of Japan ALL RIGHTS RESERVED 1996-2004.